旅の記録ガイド

過去の渡航歴を調べる方法 — 出入国記録の開示請求と、手元に残っている記録

2026年10月12日  ·  高島 彬(Shiori Studio)

先に立場を書きます。私は旅行記録アプリ「ずぼ旅」の開発者です。このページの中心は、公的な記録の取り方と、手元に残っている記録の探し方で、どちらもアプリなしでできます。自分のアプリの話は最後に分けて書きます。アプリの記録が証明には使えないことも、そこに書きます。

結論

パスポートのスタンプが残らなくなった

昔は、パスポートをめくれば渡航歴が分かりました。いまは、ゲートを通った出入国はページに何も残りません。

日本

顔認証ゲートと自動化ゲートは、スタンプを省略する

ヨーロッパ

シェンゲン圏は、スタンプから電子的な記録(EES)へ

EUの出入域システム(Entry/Exit System、EES)は、2025年10月12日に段階的に始まり、2026年4月10日に全面的な運用になりました。欧州委員会は、この日からEESがパスポートへのスタンプに代わると説明しています。対象は、短期滞在で訪れるEU以外の国籍の人で、29カ国が使っています。日本のパスポートで観光に行く場合も、この記録になります。

つまり、ゲートを通った日本の出入国と、2026年春からあとのヨーロッパ旅行は、パスポートをめくっても出てきません。

出入国の記録が要る場面。出入国在留管理庁は、ゲートの案内のなかで、次の手続きを例に挙げています。

出入(帰)国の証明が緊急に要る事情があるときは、出帰国の手続きをした地方出入国在留管理官署に問い合わせるよう案内されています。

公的な記録:出入(帰)国記録の開示請求

出入国在留管理庁が持っている、自分の出国と帰国の記録を出してもらう手続きです。以下は、2026年10月12日に庁のページで確かめた内容です。

何が分かって、何が分からないか

請求できる人

本人、法定代理人(本人が未成年者か成年被後見人のとき)、任意代理人の3つに限られています。家族の分を代わりに請求するときは、委任状をもらって任意代理人として出す形になります。

出すもの

  1. 保有個人情報開示請求書(出入(帰)国記録用)。庁のページにPDFとWord、記載例があります。
  2. 手数料:1件につき300円分の収入印紙を請求書に貼ります(消印はしません)。
  3. 本人確認書類:窓口なら、運転免許証やマイナンバーカードなど。郵送なら、その両面コピーと住民票(30日以内に作成、個人番号の記載なし、コピー不可)。本人確認書類は、住民票と同じ住所が書かれたものに限られます。マイナンバーカードのコピーを送るときは、個人番号の無い表面だけにします。
  4. 写しを郵送で受け取りたいとき:必要な切手を貼った返信用封筒か、返信用レターパック。記録の量によっては、切手の追加を求められることがあります。

出す先

出入国在留管理庁 総務課 出入国情報開示係
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-1 四谷タワー13F
電話 03-5363-3005
窓口と電話の受付:午前9時〜午後5時(土・日・祝日・年末年始は休み)

かかる日数

法律では、請求があった日から30日以内に開示の決定をすることになっています。実際の期間は案件ごとに違います。庁のページの冒頭には、請求が「現在多数に上っており、お手元に結果が届くまでにお時間をいただいております」とあり、進み具合を電話で聞いても回答できない、とも書かれています。ビザの申請のように期限がある場合は、余裕を見て出してください。

国の名前と日付を、手元の記録から拾う

開示請求で分かるのは、日本を出た・帰ったという記録です。その間にどの国にいたかは、自分の記録から埋めます。証明にはなりませんが、申請書の渡航歴の欄を埋めたり、記憶を確かめたりする手がかりになります。

手がかり分かること弱点公的な証明
出入(帰)国記録(開示請求)日本を出た・帰った記録行き先の国は分からない。届くまで時間がかかるなる(日本の出帰国)
パスポートのスタンプ・査証その国に入った日・出た日ゲートやEESを通った分は押されないなる
位置情報付きの写真撮った場所と日時撮らなかった国は出ない。位置情報の無い写真は対象外ならない
Googleマップのタイムライン訪れた場所と日付初期設定はオフ。オンにする前の分は無いならない
航空券の控え(メール)便・日付・区間陸路や船の移動は出ない提出先による
カードの利用明細使った日と店国名が出ないことがある提出先による
写真

位置情報付きの写真から、国と日付を拾う

位置情報が付いた写真は、撮った場所と日時をそのまま持っています。iPhoneなら、写真アプリの「ライブラリ」→ 並べ替えとフィルタのボタン →「地図を表示」で、撮った場所が地図に出ます。国の一覧にしたいときは、写真をブラウザの中だけで読んで行った国を数える「行った国カウンター」(私が作った無料のツールです)が使えます。

くわしい手順はiPhoneの写真から行った国を調べるに書きました。

Googleマップ

タイムラインをオンにしていた人は、そこに残っている

Googleマップのタイムラインは初期設定でオフですが、オンにしていた期間の分は、訪れた場所と日付がスマホの中に残っています。スマホからファイルに書き出して、国の一覧にすることもできます。手順はGoogleマップのタイムラインから行った国を数えるにあります。

メール・明細

航空券の控えと、カードの明細

メールを「eチケット」「itinerary」「予約確認」などの言葉で検索すると、航空券の控えが出てくることがあります。便名・日付・区間が分かります。カードの利用明細は、いつどこで使ったかの手がかりになります。古いパスポートが手元に残っていれば、その期間のスタンプも使えます。

これから先の旅を、聞かれたときに答えられるようにする

ずぼ旅の場合(私のアプリです)

対応はiPhone・iPad(iOS 17以降)です。Android版はGoogle Playで公開しています(機能と更新時期はiPhone版と異なる場合があります)。

App Storeでずぼ旅を見る

よくある質問

出入(帰)国記録の開示請求は、オンラインでできますか?

出入国在留管理庁のページで案内されているのは、窓口への提出と郵送です(2026年10月12日確認)。保有個人情報開示請求書(出入(帰)国記録用)に300円分の収入印紙を貼り、本人確認書類を添えて、出入国在留管理庁総務課出入国情報開示係に出します。

何年前の記録まで請求できますか?

日本人の出帰国記録は1973年(昭和48年)4月1日以降、外国人の出入国記録は1970年(昭和45年)11月1日以降が対象です。

出入(帰)国記録を見れば、行った国が分かりますか?

分かりません。出入国在留管理庁は、この記録は他国への渡航歴や滞在歴を証明するものではないと説明しています。出てくるのは日本の出国と帰国の記録です。行き先の国は、パスポートのスタンプ、位置情報付きの写真、Googleマップのタイムライン、航空券の控えなどから拾います。

請求してから、どのくらいで届きますか?

法律では、請求があった日から30日以内に開示の決定をすることになっています。実際の期間は案件ごとに違い、出入国在留管理庁は、請求が多く、結果が届くまで時間がかかっていると案内しています。進み具合を電話で聞いても回答できないとも書かれているので、期限のある手続きに使う場合は早めに請求してください。

海外に住んでいて住民票がありません。郵送で請求できますか?

郵送の請求には、30日以内に作成された住民票(個人番号の記載がない原本)が必要です。住民票を使えない場合に代わりになり得る書類として、在外公館が発行する在留証明書などが挙げられています(30日以内に作成された原本)。やむを得ず住民票を出せないときは、事前に開示請求の窓口へ相談するよう案内されています。

顔認証ゲートを通ると、スタンプはもう押してもらえませんか?

申し出れば押してもらえます。ゲートを通ったあと、出国のときは航空機に乗る前、帰国のときは税関検査の前までに、ゲートの後ろにいる職員か審査場事務室の職員に伝えてください。その時点を過ぎると受け付けてもらえません。

写真やアプリの記録は、ビザの申請などの証明に使えますか?

使えません。写真の位置情報、Googleマップのタイムライン、旅行記録アプリの記録(ずぼ旅も同じです)は、公的な証明にはなりません。申請書に書く渡航歴を思い出すための手がかりとして使い、証明が要る場面では、出入(帰)国記録の開示請求、パスポート、航空券の控えを使ってください。

出典(2026年10月12日確認)

このページについて。上の出典を2026年10月12日に読んで書きました。手続きの中身は変わることがあります。請求の前に、出入国在留管理庁のページで最新の案内を確かめてください。私は行政書士などの専門家ではなく、このページは手続きの代行や助言ではありません。事実の誤りがあれば shiori.sutudio@gmail.com までお知らせください。直して、日付を更新します。